テニスコート1面で約20トン、サッカーグラウンドなら1面約300トン。これら大量の人工芝が、役割を終えて撤去された場合、現状では産業廃棄物として処理されているのが通例です。しかし、現在の人工芝の敷設ペースは年間200万m²にも及び、その処理方法が問題となってきています。
住友ゴム工業はエコ・ファースト企業として循環型社会を形成をするため、以前よりさまざまな環境保全活動を行ってきています。環境と経済が両立する循環型社会の形成には、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取り組みを欠かすことはできません。そこで、住友ゴムグループが開発したのが、人工芝の新しいリサイクル方法「レコクル」システムです。
使い終えた人工芝を、芝、充填用の砂、ゴムチップの3つに分け、それぞれを資源として活用するというものです。分離された人工芝は、近年各地で建設が進む太陽光発電設備などの防草シートとして再利用されるなど、有効活用が期待されています。また、砂は建築用砂として再生利用され、ゴムチップは熱源回収(サーマルリサイクル)されます。
住友ゴム工業は2009年3月に環境省が制度化している「エコ・ファースト企業」に認定され、低炭素社会の構築、循環型社会の形成、自然との共生をすすめる取り組みを進めています。
環境省の通達に準拠した、人工芝リサイクルの新しい方法です。
張替え現場からリサイクル工場までの運送コスト低減のため、順次リサイクル拠点を拡充し、より利用しやすい環境づくりに努めています。
レコクルは、解体現場で発生した使用済みの人工芝を回収し、防草シートなどにリサイクルするシステムです。ただし、中古人工芝はリサイクル原料としての買取価格が安いため、リサイクル拠点まで運ぶ運搬費用の方が高くなってしまいます。そこでレコクルでは、リサイクル拠点までは産業廃棄物として運搬し、リサイクル拠点で有価物として売却するというプロセスを採用しています。
また、リサイクル拠点までの運搬には産業廃棄物処理法が適用されますが、その後、人工芝と充填物に分離され再利用・再生利用されることに関しては、同法が適用されないことが、環境省の通知(環廃産発第050325002号/第13032911号)により確認されています。