「気持ち良いグラウンド」レンタルJリーガーも認める人工芝
※この取材は2019年10月に実施したものです
J3、Y.S.C.C.横浜に所属時、Jリーガーながら、アマチュア契約のためサッカー選手としての給料はゼロという0円Jリーガーであった、浅川隼人選手。ボランティアサッカー教室を通じて見つけた「子どもたちが夢を追い続けられる環境を作る」という自らの夢に向け、内容も報酬もすべてお客さんが決めて浅川選手を“レンタル”するという『レンタルJリーガー』という取り組みを始めたことでも話題になっています。今回はハイブリッドターフEXが設置されている品川区天王洲公園のグラウンドで、実際にその使い心地を試してもらうため、浅川選手をレンタルしてみました!
小学生の時に出会った人工芝の印象が忘れられない
僕が初めて人工芝に触れたのは小学4年生のときでした。出身が千葉県なので、柏レイソルの新しいグラウンドを訪れたのが最初です。それまでは土のグラウンドでサッカーをしていたので、初めて人工芝のグラウンドに入ったときの感覚は今でも特別なものとして覚えています。すごくきれいで、テレビの中のサッカー選手がプレーしているグラウンドという感じでしたね。
日常的に人工芝で練習をするようになったのは、大学に入ってからです。当時、人工芝を張り替えた直後で、フカフカ過ぎてボールが止まってしまう感じだったのを覚えています。
Y.S.C.C.横浜(※)でも人工芝の練習場を使っています。でも、すごく硬いグラウンドで、今日のグラウンドの方が間違いなくいい環境です(笑)。普段は捻挫予防のためにトレーニングシューズをはいているのですが、ここの人工芝ならスパイクでもケガをしなさそうですね。
レベルアップと選手寿命にプラス人工芝がもたらす効果
日本のサッカーレベルが上がった理由のひとつに人工芝もあると思います。子どものころから良い環境で練習できればレベルアップのスピードも上がるでしょうし、土のグラウンドに比べるとケガのリスクも減るので、選手寿命にも好影響があると思います。僕個人としても、子どもたちが夢を追いかけ続けられる環境を作ってあげることが一番の夢なので、今回のハイブリッドターフとのご縁が今後にも続くとうれしいなと思っています。
今後、サッカー選手としては、現在のJ3からJ2、J1、海外、日本代表とステップアップをしていきたいです。でも、お金をたくさん稼ぎたいとか、すごく強いチームに行きたいということではなく、コンセプトがしっかりしていて、自分が思い描いている夢に近いチームでプレーしたいですね。ステップアップしながら、自分を一番表現できる場所に居続けたいと思っています。
レンタルJリーガーについて
僕のやっている『レンタルJリーガー』は、サッカーを教えてくださいとか、ご飯食べに行こうよとか、内容はなんでもよくて、一般の方に企画を考えてもらって、「僕の価値」を買っていただくというものです。
日本や海外の子どもにサッカーを教える機会を通じて、「子どもが夢を追い続けられる環境を作りたい」という夢を抱くようになりました。そのためにはサッカーの世界だけに留まっていてはダメだと思っていて、外側の世界への窓口にもなる『レンタルJリーガー』の企画を思い付きました。おかげさまで、週に3、4件くらい予定が入っていて、今はこちらの報酬だけで生活できています。でも、お金儲けがしたいわけではありません。
この企画を始めて、お金に対する価値観が大きく変わりました。先日、スポーツメンタルコーチの方からの依頼で、彼のレッスンを受けました。通常はお金を払って受けるものですがタダでやってもらいました。その代わり、僕のレンタル料もタダでした。相手の存在価値と僕の存在価値を物々交換した形で、お互いの幸福度だけが生まれたわけです。こんな風に個人の存在価値を高めれば、お金が必要なくてゼロ円で色々なことがやれるのではないかなって思いますね。
ゼロって一番すごい価値だと思います。金額では決められていない無制限の価値。その価値を高めていけば、僕の夢に近付いていけると思っています。ただ、個人でできることはどうしても限界があるので、今回の住友ゴムさんのように企業からの依頼をいただいて、パッと視界が広がった気がしています。これからもいろいろな方たちとつながりながら、唯一無二の浅川隼人だけの価値を生み出していきたいと思います。
生年月日:1995年5月10日/出身:千葉県/所属:ロアッソ熊本/ポジション:FW
小学生時代に千葉アミカルSCでサッカーを始め、中学ではジェフユナイテッド千葉U-15に進む。その後、高校は八千代高校に進学し、2年時には、夏のインターハイ、冬の全国高校サッカー選手権大会に出場。大学は桐蔭横浜大学に進学。3年時には関東王者、総理大臣杯3位に輝き、4年時にはキャプテンとして、チームを牽引する。卒業後は、Jリーグ3部のY.S.C.C横浜に入団。1年目の2018年は出場機会に恵まれなかったが、2年目の2019年は第29節にハットトリックを達成するなど、得点ランキング6位となる年間13得点、7アシスト(※)を記録。2020年シーズンより、同じくJリーグ3部ロアッソ熊本へ移籍。(※)・・・Football LABより